五代目小さん芸語録

落語界の国宝は故・５代め小さん師匠と３代め米朝師匠だけ。ご本人のレヴェルの高さはもちろんのことながら、お弟子さんを多く育てていないといけないのだ（比べるのは無礼だが、種付けだけで育てない競馬のサンデーサイレンスとは大違いだ！）とか。「目白」の小さん師匠には直弟子さんに故・談志師匠、小三治師匠、さん喬師匠、市馬師匠、孫弟子さんに権太楼師匠、志の輔師匠をはじめ、綺羅星のごとくいらっしゃいます（同様に「武庫之荘」の米朝'師匠の直弟子さんには可朝師匠、故・枝雀師匠、ざこば師匠、故・吉朝師匠、孫弟子さんに八方師匠、南光師匠、雀三郎師匠、雀々師匠ら）。う〜む、このお二人以外には該当者なしですな。結局、国宝とは業界を発展させた指導者でもあるのですね。さて本書では、小三治師匠に「あとがき」で推挙(？)された小里ん師匠が、国宝・「目白」の小さん師匠からの託宣をくだしておられます。54のネタのポイントを分かりやすく示してくださっています。ただし、やや専門的すぎるかも…。上手でないプロが熟読したほうが良いのでは、と思わせる内容でもあります。あと、穿ったみかたをすれば、聴き手の石井氏と小里ん師匠とが噛み合っていないところもたま〜にあり、そういう部分の発見もおもしろい。それでも、石井サンがいろいろとツッコンでいくのも素晴らしいんですよね。このような濃厚な対談にもかかわらず、私は「マニア」なほうなので、感心しながらイッキに読みました。もっともプロやないので、こんな素晴らしい落語をしてみたいとは思えませんでしたが…。でも、「目白」の小さん師匠のＤＶＤを買おうとは思いましたよ。そして、本書の基となった「柳噺研究会」もＣＤ化かＤＶＤ化して欲しいです！東京まで観にいけば良いのかな。…いずれにせよ、芳醇な香りがただよってくるような、なおかつ噛みごたえのある芸談本でした。…もう２回目、読んでまんねん。