きょうの花活け：花あしらい101の見本帖。花と鎌倉とウーロンと。

鎌倉に住んで花教室を開いているという著者が、101の花活けの写真を収めたもの。オールカラー。ページをめくる度、工夫を凝らした花活けの写真が次々現れる。一輪だけ活けることによって普段群生している花の違う可愛さを引き出す。ヤマアジサイのすらっとした茎の長さを生かす。色が微妙に違う2種類のダリアを一輪ずつ組み合わせてみる。ゆりかごのような小さな器に、パンジーの花を寝かせるように浮かせてみる。複数の花を同じ系統の色でまとめてみる。ちいさなカップの中にバラの花をひとつすっぽりと入れる。器の片側のへりに花をよせて葉を寝かせるようにする。皿の上に輪のように並べてみる。空き瓶を生かす。枝のリンゴやドライフラワーを使ってみる。活けるのではなく置いてみる。器や背景との絶妙のコンビネーションとバランス感覚。おしゃれで、美しく、清涼剤のように心に効いてくる。飼い猫（ウーロンという名前らしい）の写真も写っている。文章は花活けを習っている生徒さんとの語りという形式になっている。文章自体は特別なものではなくて、本当に会話しているという感じで掲載されているが、それぞれの花活けの作品の裏には、研ぎ澄まされた感覚だけでなく、よい意味での緻密な計算や素材の特徴をとらえた上での繊細な配慮がきちんとあることを、屈託なく披露してくれている。